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高森明勅
2016.7.30 01:00

「平成」から次の元号へ(1)

天皇陛下が譲位(生前退位)を望んでおられる。

ならば、それは国民の圧倒的多数が“反逆者”でない限り、
普通に実現するのが当たり前。

その場合(神器の継承に続いて)、まず「改元」が行われる。

元号が「平成」から次のものに改められるのだ。

その法的根拠は「元号法」。

この法律は昭和54年6月の国会で成立した。

逆に言うと、「元号」という制度はこの法律が成立する迄、
暫く法的根拠が曖昧になっていた。

どういうことか。

被占領下に憲法が改められた時、皇室典範も全く新しくなった。

今の典範制定の法的正当性は、実は憲法以上に疑念を抱えている。

だが、ここでは立ち入らない。

とにかく典範が新しくなって、典範から元号の規定(旧典範第12条)
が削除された。

その結果、元号という制度は確たる法的根拠を失った。

だから元号法成立の当時、
既に70歳代後半に達してにおられた
昭和天皇が、
もしそれが成立する前に崩御されていたら、
「大化」(
元年が645年)から始まった我が国の元号は、
「昭和」
で最後になっていた可能性が高い
多くの国民にそんな自覚は無かっただろう)。

しかし、広範な国民運動の高まりの結果、元号法が成立。

私自身も非力ながら、その運動の末端に参加した経験がある。

それを根拠に、「昭和」から「平成」へ改元が恙(つつが)無く
行われた。

その時の情景を覚えている人も少なくないはずだ。

当時の小渕恵三内閣官房長官が「平成」
という新しい元号を発表した
場面とか。

その時は、昭和天皇が年齢の確実な歴代の天皇で最長寿の87歳で
崩御されて
、今の天皇陛下が即位されたのに伴う改元。

だが今度は、陛下のご意向が理不尽に妨げられない限り、
譲位による改元が近代以降、初めて行われることになる。

それがどのように行われるか。

その見通しについて簡単に述べよう。

(続く)

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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